東京・築地「韓家(からや)」が新メニュー開発へ向けた試食会を実施!~韓食アカデミー

去る10月30日、東京・築地の「韓家(からや)」にて、キムチ作り体験と新メニュー開発に向けた試食会が行われました。「韓家」は当協会の会員のお店です。

韓食堂の発展のために新メニューの開発は常に求められおり、それは当協会の定款にも含まれております。昨今ではチーズタッカルビやヤンニョムチキンなどの流行フードが目立っており、それもまた人気なのですが、伝統的な料理を土台にしたメニューなども今後見直されていく必要があります。

■お店の運営とともに、意欲的に料理を学ぶ
そんななかで「韓家(からや)」のご協力を得まして、新メニュー開発の試食会をレポートさせていただくことになりました。当協会の『韓食アカデミー』事業のひとつとして、他の韓食堂やシェフの方々への参考事例とさせていただくものです。

韓家の店主の朴珉鏡(パク・ミンキョン)さんは、韓家を運営するかたわら、定期的に韓国に渡航して自ら料理を学ぶなど、日々研鑽に努めていらっしゃいます。

■キムチ漬けについて
最近ではキムチ漬けを韓国で著名な先生から教わってきたそうですが、キムチには白菜の質と塩漬けが一番大事だと感じたそうです。

その質のよい白菜の選び方として、韓国では高冷地栽培をしている江原道の白菜がキムチ作りに適していることからよく使われています(全羅南道の白菜も有名です)。

日本では長野県産の白菜が甘くて歯ごたえが良いのだといい、普段はできるだけ長野県のものを選んでいるそうです。

塩分濃度は10%くらいが基本ですが、お店では7%程度に抑えて作っています。この日は白菜の供給の事情から塩漬けした"ミニ白菜"を使用し、常連のお客様がキムチ漬けを体験されました。

ヤンニョムには夏はネギやニラ、冬はミル(청각、チョンガッ)という海藻を加え、そういった材料を用いてキムチを漬けます。漬けたキムチは発酵が進んで「ボコボコと泡が出てくるころが食べごろ」だそうです。

■開発中の新メニューをお披露目
キムチ漬け体験とともに、開発中の新メニューをお披露目していただきました。日本では手に入らない材料もあるため、すべてをメニュー化することはできませんが、今後は伝統的なメニューやデザートを取り入れて行きたいそうです。そんな料理の数々をみてみましょう。

●トンチミ大根の和えもの(동치미무 무침)
トンチミとは大根を塩漬けにして発酵させたキムチの一種ですが、その大根を和え物にしたもの。ほど良い酸味でさっぱりとした味です。

●柿とキュウリとニラの和え物(단감 오이 부추 무침)
柿を料理に取り入れ、キュウリとニラとをヤンニョムで和えたものです。柿の甘さと唐辛子のほどよい辛味が口のなかで調和します。

●ユクジョン(육전)
肉煎と書きますが、お肉のチヂミです。一般的に肉に小麦粉や卵をまぶして油をひいてフライパンで焼いた料理です。ここでは豚のひれ肉を使用しましたが、レギュラーメニュー化が検討されています。

●緑豆ムクの和え物(청포묵 무침)
緑豆のでんぷんを固めたチョンポムクを、肉やキノコなどの食材と和えています。チョンポムク自体には味はないのですが、具材とともに醤油ベースで味付けしています。

いかがでしょうか?あまり見慣れない韓国料理、初めて見る料理が出てきたかもしれません。

■デザートメニュー
新たなデザートも開発中ですが、現時点でお披露目してくださいました。左の商品が、もち米と小麦粉で作った揚げ菓子の「開城チュアク(개성주악)」で、最近韓国で人気が出てきた伝統菓子です。右の白いものはマッコリを蒸して作ったふわふわなお餅「マッコリ・ジュンピョン(막걸리蒸䭏)」です。

このように新たなメニューの試作品を披露していただいたわけですが、韓国料理が浸透するなかで、お客さんの立場からしても、知らない料理は注文しにくいところがあります。

当日参加した常連さんにお話を聞いてみると、「このお店は何でも美味しいので、新しいメニューがあれば食べてみようという気になる」「隣の人がおいしそうに食べているのを見ると、注文して食べてみたくなる」と話してくれました。

ここまで紹介した料理は、普段は食べられませんが、徐々にメニュー化されるものも出てくるでしょう。

■ユッケジャン(レギュラーメニュー)
この日はレギュラーメニューとして、この店自慢のこだわりの「ユッケジャン(육개장)」もふるまわれました。

国産の肉と骨、煮込み、トウキ(当帰)などの漢方(韓方)にも使われる素材を入れて、12時間くらい煮込んでスープを作っています。スジ肉やハチノスなども入っており、野菜はネギや玉ねぎ、大根などを入れ、くさみをとっているそうです。

また、韓家(からや)は化学調味料を使わないことにもこだわっている店です。築地を訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてください。※今年12月22日の冬至の日には小豆粥をふるまうので、ぜひお越しくださいとのことでした。

韓家(からや)
住所:東京都中央区築地6-18−10
電話:03-6264-3786
時間:火・木・金(11:00~14:00, 17:00~23:00)
日・月・土(17:00~23:00)

韓食の新メニューはまずは常連さんに味わっていただき、そこで好評を得たものをメニュー化していく、というのも一つの方法ともいえるでしょう。食堂を運営されている皆様、シェフの皆様もぜひ参考にしてください。