「日韓グルメフェア2023 in 熱海」 開催レポート~キムジャン体験と「熱海キムチ」のこれから
一般社団法人 日本韓食振興協会は11月11日(土)~12日(日)に熱海市と共催で「日韓グルメフェア2023 in 熱海」を開催しました。
この行事は熱海市が所有する熱海梅園のなかに「韓国庭園」があることにちなみ、この場所を日韓友好の地として知らせていこう、ということから当協会が企画したイベントです。
秋の恒例行事となる「熱海梅園もみじまつり」のオープニングの日にあわせて開催し、当日は園内の一部が色づき始めたなかで行われました。
韓国庭園でのキムジャン<キムチ作り>体験をメインとし、中央広場を中心に「熱海キムチ」の販売、日韓グルメストリート、伝統衣装体験、ステージイベントなどの多彩なコンテンツを準備し、2日間にわたって予定通りの日程を無事に終えました。
■約70名が本格キムチ作りに奮闘!~キムジャン<キムチ作り>体験~
韓国庭園で行ったのはキムジャン<キムチ作り>体験です。11日(土)は13時30分から、12日(日)は11時からスタート。
両日合わせて合計約70名が参加。特に初日はオープニングイベントに出席した来賓の方々にも体験していただき、盛大に行われました。
キムジャン(김장)は晩秋に家族やご近所といっせいにキムチを漬ける韓国の伝統行事であり、「キムジャン文化」は2013年に和食と同時にユネスコ世界無形文化遺産にも登録されています。
●善玉先生による軽快な語り口で
今回は「善玉(ぜんだま)先生」でおなじみの料理研究家であり、キムチ名人の称号をもつ趙善玉講師がキムジャンをレクチャー。リラックスして体験していただくために、まずは準備体操からスタート。
開始時間になり、解説が始まると、キムチの魅力についても語ってくださいました。
「キムチは漬けてから1年後でも食べられる。発酵するから味が変わるんです。それがキムチの魅力。」
キムジャン体験では塩漬けされた白菜と出来上がったヤンニョムがテーブルにセットされた状態で始まりますが、家で漬けるときのために、塩漬けについてもお話がありました。
「韓国の天日塩を使うなら、濃度は10%でもOK」。「天日塩は甘いので、ぜひ舐めてみてください」といったお話まで。
●韓国料理家たちがサポート
そして説明のあとは各テーブルで白菜にヤンニョムを1枚1枚塗り込むように、キムチの漬け込みをみなさんに体験していただきました。
また今回のキムジャン体験をサポートしたのは趙善玉料理研究院のメンバーや大韓民国韓食フォーラムで韓食大家の称号をもつみなさんたち。
彼女らも韓国料理の実力の持ち主で、各テーブルを回ってサポートしてくれました。
1日目は熱海梅園内を練り歩いてきた農楽パレードの部隊(後述)がキムジャンの会場でも演奏を開始するなど、ちょっとしたサプライズもあり、善玉先生も会場のみなさんと一緒になって踊り、会場を盛り上げました。
家に持ち帰って頂いたキムチは約1キロ。家に持ち帰ったキムチはすぐに食べてもよいですが、ある程度熟成させてから召し上がっても、発酵が進んで美味しく頂けます。
漬け込む長さにより、味が変わるのが本来の発酵するキムチなのです。
■中央広場はオープニングから舞台公演、日韓の屋台グルメまで
熱海梅園の中央広場には「熱海温泉郷」と書かれた舞台が設置され、金日権(キム・イルグォン)氏による司会により進行されました。
●オープニングイベント
11日には12時30分からオープニングイベントが開催されました。
当協会の崔光礎会長のごあいさつから始まり、東京・中野区日韓親善協会の市川みのる会長、当協会顧問で妻家房を運営する株式会社永明の代表取締役の呉永錫(オ・ヨンソク)氏、そして駐横浜大韓民国領事館の金玉彩(キム・オクチェ)総領事からのメッセージが領事による代読で読み上げられました。
また韓食大家の称号をもつ料理家たちによる展示が行われたことから、料理部門・キムチ部門・お菓子部門の3部門で当協会から表彰が行われました。
●伝統楽器による舞台イベント
両日の舞台イベントでは、韓国民団大田支部から兪曉久(ユ・ヒョグ)講師が率いるチャンゴチーム「ウリパラム」によるサムルノリ、農楽パレード演奏が両日数回にわたって行われ、園内には鐘や太鼓の音が響き渡りました。
その音色につられて人々が集まり、当日まで日韓グルメフェアの存在を知らずに訪れた観光客の方々も中央広場に立ち寄ってくださいました。
そしてもうひとつの舞台公演は、津軽三味線奏者の山本大氏と、在日韓国人3世のKYE氏による日韓伝統楽器によるアンサンブル。津軽三味線の音色に韓国の太鼓・チャンゴが合わせて演奏するという珍しいコラボ演奏を会場の皆様に堪能していただきました。
そして青森のねぶたの「ラッセラーラッセラー」という掛け声に合わせて、舞台と会場が一体となり盛り上がるひとコマも。このように日韓が融合したプログラムを用意しているのは、日韓グルメフェアならでは、です。
ステージでの演奏の合間にはユンノリ(韓国のすごろく)や、投壺(トゥホ)という伝統遊びを体験していく方もいらっしゃいました。
●当日お披露目・販売された「熱海キムチ」
今回中央広場では「熱海キムチ」としてみかんキムチの販売を行いました(300g 1,100円、税込)。
これは「日韓グルメフェア2023 in 熱海」の開催を機に「熱海キムチ」なるものを開発し、熱海の特産品、お土産品として、熱海市の地域ブランドとして作っていこう、というプロジェクトです。その第一弾として「みかんキムチ」をお披露目する形となりました。
今回のみかんキムチはキムジャンを担当した趙善玉講師が熱海を訪問した際に、「熱海ではみかんが有名」ということからインスピレーションを得て、みかんを使い、大根とともにキムチとして漬け込み、日韓グルメフェア限定で販売しました。
今後「熱海キムチ」がどのようなものとなるかは確定していませんが、熱海市で獲れた野菜や海産物を使ってキムチを作り、熱海市の名産品として「熱海キムチ」を定着させていきたい、と当協会では考えています。
これには地元の方々のご協力も必要となることでしょう。ぜひとも応援をよろしくお願いいたします。
●熱海梅園中央広場の屋台・グルメ・キッチンカー
熱海梅園中央広場を中心に屋台、グルメ、キッチンカーが出店しました。韓国料理としてはチヂミやトッポッキ、チャプチェ、10ウォンパンといったグルメ屋台での営業となりました。また韓国・江原道からの白菜を使ったキムチ、乾燥ダラなどが販売されました。
韓国流行の屋台フードや今や日本でおなじみの韓国フードが取り揃えられました。そのほか、国産コシヒカリで製造されている華マッコリの試飲、キムチから生まれた発酵乳酸菌飲料"U&YOU(유앤유)"のサンプル配布、販売も行われました。
またキッチンカーではたこ焼き、ローストビーフ丼、タコライスといった商品が販売されました。
●伝統衣装の試着・韓国スピリチュアル占い
中央広場ではKIMONOWONDER(川崎市)による着物の試着体験とともに、韓服(チマチョゴリ)の体験も併せて行われました。中央広場を中心に熱海梅園内で写真を撮ったりする人の姿も見られました。
また韓国スピリチュアル占いとして東京・新大久保の龍門精舎より、人気占い師の鄭東秀先生が来場。じっくり相談しながら占ってもらうことができ、お客さんが途切れないほどの大盛況でした。
●韓食大家による韓国料理の展示
大韓民国韓食フォーラムが認定する韓食大家による韓国料理の展示が行われました。
色とりどりで美しい伝統料理から現代料理、北朝鮮の料理、様々なキムチまで含めて紹介されました。
そして最近は韓国でも人気であり、時代劇にもよく登場する薬菓などは比較的年配の方々に注目され、マカロンのような現代菓子は若い人たちに関心を持たれていたようです。
長年の料理の研究の成果がここで発表され、多くの人たちが料理に目をとめ、料理家たちの説明を聞いているお客様の姿も見られました。
■協賛企業提供による韓国食品のプレゼント
当協会では両日先着500名様に韓国食品のプレゼントを行いました。株式会社農心ジャパンからは辛ラーメン・ふるる冷麺・チャパグリ カップほか、CJ FOODS JAPAN株式会社からは美酢(ミチョ)、株式会社五星コーポレーション(GOSEI)からは宋家のジャジャン麺、G-TOKといった非常に多くの協賛による商品を頂き、キムジャン参加の皆様やアンケートにご回答くださった皆様に配布いたしました。
また高千穂物産からはファンテ(乾燥タラ)、塩辛等のご提供をいただき、販売させていただきました。
その他にもあすか信用組合、テナム・池上線ガード下物語、妻家房(株式会社永明)、株式会社消防試験協会、金榮商事株式会社、JSJ株式会社、株式会社NOAA、株式会社高千穂物産(順不同)からも協賛金を頂くなど、各社の皆様に多大なるご支援を頂きましたことをこの場をお借りして御礼申し上げます。
また熱海市職員の皆様や、このイベントのきっかけを作って下さった村山憲三元熱海市議にも感謝申し上げるとともに、当日力を貸してくださったボランティアの皆様にも感謝申し上げます。
■まとめとして
イベント参加者の皆様は「日韓グルメフェア2023 in 熱海」をお楽しみいただけましたでしょうか。この行事を目当てに訪れた方も、たまたま見つけて立ち寄ってくださった方もいらっしゃったようです。
当日来れなかった方も、熱海は東京・品川から新幹線で約40分の温泉地。崖地の上の高台にあがると美しい海と熱海の街が一望できます。
そんな熱海で温泉に浸かり、美味しい海産物を召し上がっていただいて、この日韓グルメフェアの開催を通して「再発掘」を試みた、韓国庭園にもぜひ訪れて頂ければと思います。
そして「熱海キムチ」も地域ブランドとして定着させたいというのが、当協会の今後の目標です。