本文へスキップ

一般社団法人 日本韓食振興協会、日本における韓食の世界化を推進する団体

お問い合わせはE‐mail: hankisung@noaa.jp

〒112-0014 東京都文京区関口1-42-7 ILLUSION BLDG.

イベント情報

新安郡・曽島の天日塩は「神からの生命の贈り物」

世界で最もミネラル豊富な韓国最大の太平塩田(世界5大干潟の唯一の天日塩田)
人間の生存に欠かせない塩。
韓国の天日塩が今、世界的に最も有名な塩ブランドであるフランス・ゲンランド社から視察に来るほど、各国で脚光を浴びている。
韓国の天日塩は、主に西海岸と南海岸に集中しているが、質量ともに最高、最大は西海岸に面した全羅南道新安郡曽島の太平塩田。
1004の島からなる新安郡の中で7番目に大きな島である曽島一帯は、世界5大干潟にあげられ、ミネラル豊富な清浄海域としても知られている。 この島が一躍世界で有名になったのは、アジアで初めてスローシティーに指定された2007年。
この年、イタリアに本部を置く国際スローシティー連盟の会長団が現地を訪れ、太平塩田で天日塩づくりの現場を見て、「曽島の干潟と塩田は、神様がくれた祝福の地であり、天日塩は神様からの生命の贈り物」と絶賛、これが根拠となってスローシティーに指定されたからだ。
さらには09年にユネスコ(UNESCO)から「太平塩田と新安郡多島海干潟」が生物圏保存地域に指定されたことも、島と天日塩の存在を広めるのに拍車を加えた。
これは、ここ一帯の干潟が様々な生物が共存する命あふれる干潟であるということ、そしてそこで生産される天日塩がエコ・ブランドとしての価値が高いことを世界的に公認したものと言える。

ゲランド塩田よりミネラルが抱負

天日塩は世界の塩の生産量の37%を占めているが、曽島をはじめとする新安の干潟で生産される天日塩は、製法から質の面で大きく異なる。天日塩は太陽光と風で海水を蒸発させて作る点では共通しているが、 一般の天日塩は生産方法や規模が大きいため、ほとんどの塩田は広い田んぼのような場所に海水をため、長期間かけて海水を蒸発させ、塩を結晶化させている。
主産地は地中海、紅海沿岸の各国、米国、インド、 中国などの海洋沿岸。大規模塩田と言われるこれらの塩田は日照量と風が強いため、海水を蒸発させる蒸発地と最終的に塩を得る結晶地に分けず、また分けてもその期間が極めて短い。そのため結晶化した後にかなりの時間放置される関係で、 味はしょっぱくて渋く、ミネラルの含有量も低い。しょっぱい味を出す塩化ナトリウム(NaCl)の濃度が85%前後と高く、ミネラルのバランスもよくない。
これに対して曽島の天日塩は、17の蒸発地を移動しながら蒸発と浄化過程を繰り返し、最後の結晶地で結晶化された塩も長く放置されずにすぐ収穫される。したがって、しょっぱさを示す塩化ナトリウムの濃度も76%前後と低く、残りは様々なミネラルからなっている。質の高い天日塩は、太陽の日照量と風によって決まるが、 曽島のそれはこの双方が適度な関係で、結晶が太く色は乳白色を帯び、豊富なミネラルが自然のバランス通り入ったアルカリ性塩として有名。この方式で天日塩を生産しているのは、韓国以外ではフランスのゲランド塩田ぐらいで、その量は両国合わせて世界の塩生産量の0.1%にしか過ぎない貴重な塩だ。
ゲランド塩田の天日塩は価格の面でも世界的に有名だが、韓国西海岸一帯、とくに曽島の太平塩田の天日塩に比べてミネラル含有量はほぼ3分の1程度。曽島一帯の天日塩が世界的に脚光を浴びているゆえんだ。
曽島一帯の天日塩がなぜミネラルが豊富なのか。それは干潟と密接に結びついている。世界5大干潟の中で天日塩が生産されているのは唯一、曽島一帯の干潟だけ。
干潟は周辺の陸地から様々な有機物が流入し、プランクトンやムツゴロウをはじめ多様かつ豊富な生物を棲息させている。このように栄養豊かな干潟で生産される天日塩にミネラルの含有量が多いのは当然だ。


旨味抜群の1年から5年の熟成塩

曽島一帯の塩田は韓国の塩田面積の57%、生産量は62%%に達する。小規模生産者も少なくないが、中でも1953年につくられた太平塩田は国内最大規模の単一塩田であり、近代文化遺産にも登録されている。曾島とその横のテチョ島の間の干潟を塞いでつくられた干拓地462万平方メートルの塩田では、毎年1万5千トンの天日塩が生産される。 まるで海のように果てしなく広がる67の塩田で人々が手ずから塩を生成する過程は実に壮観だ。 塩田の横には67の古い塩倉庫が3キロにわって立ち並び、各倉庫内で1年から5年にかけて「熟成」される天日塩も多い。太平塩田では、こうした天日塩のほかにも海草類と混ぜた機能性塩もある。中でも評価が高いのはミネラルの固まりと言われるアッケシソウ(別掲)を含めた機能性塩。高価だがキムチを漬ける時にこの塩を使うと、精製塩と比べて日持ちや味がまるで異なると、専門家が太鼓判を押しているほどだ。 韓国の食文化は発酵の文化とも言われるが、その主役はこの天日塩。味噌、醤油、コチュジャン、キムチ、塩辛などの伝統基本調味料には天日塩は欠かせず、天然ミネラル含有量が豊富なことから、味だけでなく抗ガン効果など、人間の健康を増進させる機能性の面でも他の追随を許さない。

ミネラルないしょっぱさだけの精製塩

曽島の天日塩がなぜ機能性が高いのか。一般の大規模天日塩との比較は先述した通りだが、日本をはじめ生産量が最も多い精製塩と再生塩とはどう違うのか。
機械塩ともいわれる精製塩は、海水をろ過してNa+イオンとCl-イオンだけを電気分解し、濃縮鹹水を蒸発管に入れて水分を蒸発させ、これを遠心分離機に入れた後、水分を0.01%まで乾燥機で完全乾燥して作られる塩。これがナトリウム(Na)と塩素(Cl)の結合体である塩化ナトリウム。精製塩の場合、塩化ナトリウムの純度は99%以上で、マグネシムなど海水のミネラル成分はほとんどが除去されて吸湿性が少ない。ただ、しょっぱい味を出すための化学塩ということになる。
再生塩は、原料の塩を溶解、脱水、乾燥などの過程で再結晶化させて製造した塩のこと。一般的に国内塩と輸入塩を混ぜて生産され、塩度は90%以上となる。日本に輸入されるメキシコ産などの天日塩は、ほとんどがこうした過程を経た再生塩といわれる。やはりミネラル成分は見るものがなく、しょっぱい味を出すことに主眼をおいた塩だ。
日本の塩の専門家によると、四方を海に囲まれていた日本は、海水からの塩作りにおいては恵まれた環境にあり、塩田での塩作りも古来から行われていた。しかし、第二次世界大戦前後に塩の流通を国が管理することになったことと、イオン交換法での安価な製造方法が開発されたのにともない、流通を整えるために古来からの塩作りが一斉に禁止されてしまったという。その結果、塩専売法が解禁されるまでの約50年もの間、化学塩のみが食卓に並ぶようになった。
現在では、昔のような塩の国内生産が再開できるようにはなったものの、安価な外国産の商品には対抗できないことと、一度途絶えた塩作りの再開は困難を極め、今日でも多くは海外の塩に頼っているのが現状だ。

干潟天日塩は胎内の羊水と成分同じ

塩は人間、そして動物の生存に必須の物質。塩が不足すると、神経の活動が遅延し神経炎にかかりやすくなるとか、筋肉の収縮力が弱くなったりする。また、ホルモンの分泌の異常、活動が無気力になったりもする。熱中症などはその典型だ。一方で、塩分を摂り過ぎると、よく高血圧など様々な病気を引き起こすといわれる。が、最近では、精製塩は人間の健康を脅かす肥満や糖尿病の原因になるとの研究報告がしばしばなされてきた。これは、精製塩が海水に含まれている90種類余りの成分のうち、ナトリウムと塩素だけで99%以上に達し、ミネラル分を排除した結果だ。
人間の体液には0.9%程度の塩が溶けている。これは地球上の生物が海から誕生したからでもあるが、人間の赤ちゃんを包む胎内の羊水は海水、そして天日塩のミネラルと構成要素が同じで、その構成比率も非常に似ているといわれている。昔からの生産方法で得られた天日塩がいかに人間の健康にとって重要かが分かる。
太平塩田の脇には、古来からの塩を巡る戦争、天日塩の生成過程やその成分分析などを紹介した塩博物館がある。最後に、そこで見たビデオを紹介したい。海水と精製塩、太平塩田の干潟天日塩をそれぞれ海水と同じ濃度にし、そこに金魚を入れ泳がした実験。真っ先に死んだのが精製塩の金魚、次が海水。塩田の天日塩の金魚はその段階でも元気に泳ぎ回っていた。この映像を見て、いかにミネラル豊富な塩が生物にとって大切なものであるかを実感させられた。